【彼女の体を使ったオナニー】
「 毎朝、毎晩、彼が
セックスを求めてくるんです。
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もう1年以上、
もうすぐ2年です。
先生、こんな人もいるんですか?」
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「確かにいますが。1回の時間は?」
「5分です。」
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私は、言葉を失った。
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「それはセックスではないのでは
ないでしょうか?
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だから、あなたは戸惑ってる。
今までの彼氏とは違う、
私の知ってるセックスじゃない、って。
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なぜなら、それは
彼があなたの体を使って
オナニーしてるだけだから。」
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そう伝えると、
彼女は押し黙った。
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彼女も、分かっていたのだ。
そこに愛があるのか?
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虚しいだけの、
名ばかりセックスに、
精も根も疲れ果てていたのだ。
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性交痛外来は、
セックスの痛みだけを
診るだけではない。
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誰にも言えないセックスの悩みを、
自分の気持ちを確かめたくて、
性交痛外来を受診する人もいる。
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私は、11坪7人家族育ち。
10歳の頃から祖母とたこ焼き屋を
営んで、働いてきた。
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貧困も、DVも、
悲しい女性達を
たくさん見てきた。
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性交痛外来は、
医師としての人間力が試される。
人生の交差点なのだ。